京都の町家は、夏の酷暑、冬の底冷えと言われる盆地ならではの自然環境に対応するため、さまざまな工夫がなされています。その一つが通り庭(土間)。伝統的な京の町家には“通り庭”があります。
多くの町家は間口が狭く奥行きの深い細長い造りで『ウナギの寝床』と言われています。その中心が“通り庭”と言われる土間で、下駄を脱がず通り抜けできるので、人の出入りや物の運び処などが、スムーズにできるだけでなく、風の通り道として、家の中に風を呼び込むための先人の知恵が詰まっています。また両隣を家で挟まれている京町家の通り庭(土間)は、明かりを取るための天窓を造り、そこから自然の光を取り込み火袋の煙を出すため、吹き抜けになっています。
昔は家の間口の幅によって税金がかけられたため、間口が狭いぶん税金が少なく「通り」に家や店が多く並び、町全体が栄え、京の町家は当時の人たちの生活が反映されています。
三条宿ではそんな昔ながら通り庭(土間)を残し、その当時の生活を感じて頂けるよう、部屋からトイレ、シャワー、洗面所を利用する際、あえて下駄に履き替え、通り庭を通って頂くことにしました。